「ってか蒼井って超イヤな奴だね!!」

再び裏庭に向かい始めた美保は先ほどの蒼井がどうしても許せないらしい。

「あんな熱心な先生ほかに居ないのに普通あんな事言う?信じられない。あれがカッコいいとか思ってんのかな、あいつ!」

蒼井はそんな事考えてないと思う。

むしろ蒼井の言葉に引っ掛かる所が沢山ありすぎてそっちの事ばかり考えてる。

もしかして濱田先生も変わった人のひとり?蒼井は嫌いだって言ってたし何か過去にあったのだろうか。


「ってか今まで噂だけしか蒼井の事知らなかったけど本当に今のでどんな奴か分かったよね。あかりもあの時変な事とかされなくてよかったね。明らかに目付きやばいし絶対関わりたくない」

「……」

そこまで言わなくても………。

確かに蒼井は言葉汚いし目付きも悪いし、さっきのは客観的に見て蒼井が言い過ぎだと思う。

でも、

「なにか理由があるんだよ。きっと……」

蒼井と濱田先生の確執は知らないけど先生も蒼井が言ってた〝逆転した人゛だとしたら嫌いと言ってしまいたくなるほどの何かがあったのかもしれない。

「なんであかりがあいつの事庇うの?怖い思いしたんじゃないの?」

「あの時は不審者だと勘違いしてたから……。それに私は蒼井に何もされてないし怖い事もないよ」

「でもあいつが最低なのは変わらないじゃん」

言葉って難しい。

はっきりと言いたいのに言えない自分も、
それを言う勇気もないくせにそう思ってる自分も

本当に嫌いだ。

だから少しだけ堂々となんでも言える蒼井が羨ましい。