◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



なんだかおかしい。

あれから2日が経って何かが変わったわけじゃないし今まで通りの生活だけど蒼井の言葉に少しだけ歩み寄ったら頭痛がピタリと治まった。

偶然だと思うけど体の調子がずっと良い。


「あ、そういえば蒼井翔也の事なんだけど」

今までファッションの事とか昨日見たテレビの話とかそんな内容だったのに急に美保の口から蒼井の名前が出るから思わずペットボトルの紅茶をこぼした。

「わぁ、もうなにやってんの~」

「ごめん。手が滑って…」

隣の席の男子が花粉症で常に机に箱ティッシュが置いてあるから、お互いそれに手を伸ばして慌てて拭いた。

「んで……蒼井がなに?」

動揺はしたけどそこは気になる。

「前に蒼井に絡まれた事あったじゃん?それから何も言ってこないけどあかりの事が心配でちょっと調べたんだ」

美保はおやつのポッキーをくわえて前のめりになった。


「蒼井って1年の時、なんか事件起こして暫く停学処分になってたらしいよ?理由は知らないけど保護者と先生達と校長まで出てきてけっこう大きな事件だったみたい」

美保の情報網はすごいから恐らく事実。

まぁ、色んな意味で何かしらの闇を抱えている事は知ってるけど。学校の問題児だし一匹オオカミだしさほど驚きはしない。


「だから蒼井と関わったら駄目だよ!裏で絶対ヤバい事してそうだしもしあかりに何かしたら私がはっ倒しに行くから」

「……あはは。う、うん。ありがとう…」

言えない。

今日の昼休みに会う約束してるなんて。