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それから数日が経って天気はあの雨が嘘のように晴天続き。偏頭痛も治まったみたいだし朝の目覚めも快適だった。


「おはよう。目玉焼き半熟でいいよね?」

テーブルには既に焼きたてのトーストといちごジャムが置かれていた。お母さんは朝から鼻唄を歌うほど上機嫌で今日は珍しくお父さんも出勤前。


「あかりおはよう。温かい内に早く食べなさい」

お父さんはブラックコーヒーを飲みながら新聞に目を通していた。

「学校はどうだ?楽しいか?」

お父さんと食卓が一緒の時は決まってこれを言われる。心配性のお父さんは私の学校生活の事を色々聞きたいらしいけど、しつこく聞いたら嫌われるからってお母さんに言っていたらしい。

「楽しいよ。友達もたくさん居るし」

「そうか」

私にとっては当たり前の日常。

ネクタイが曲がってると直すお母さんも、結婚してから1度も外した事がない指輪がキラリと光ってて新婚みたいに仲良しな二人。

まるでホームドラマの一場面を切り取ったような光景は私にとって幸せを感じる瞬間だった。

それなのに、こんな時でさえあいつの顔が脳裏を過る。


─────多分、ここは………

あの後蒼井は何も言わなかった。

気になってる訳じゃないけど中途半端なのはすごくモヤモヤする。