「………はぁ」



「ねえ、詩姫?」



「……はぁぁ」



「こりゃ、重症ね」





早いもので、10月も半ば。



今から2週間ほど前にあった学園祭の二日目は、病院での検査の為出られず。



もちろん、その後のクラス打ち上げも出られず。




ただ唯一の救いだったのは、翔空との約束通り、後夜祭の花火を病院の屋上で〝二人っきり〟でみれたこと。



そう……〝二人っきり〟で!



空に咲く花……すっごく綺麗だった。



デートと呼べるのかは謎だけれども、それだけでかなり満足したあたし。



き、キスも……した、よ?



未だにお互い赤くなっちゃうけれど、照れ屋な翔空を見るのも、あたしの特権だもんね。



そんなこんなで、病院の検査も終えて薬も新しくなり。



最近は発作も出てなくて、いつもの通り4人で楽しく過ごす日々……だった。



一昨日までは。



「……なっちゃん……」



「わかった、わかったってば。気紛らわしに、放課後クレープでも食べに行こ?それでいいでしょ?」



「なっちゃぁぁん」




一昨日から、翔空達2年生は修学旅行中。


4泊5日というなんとも長旅。



2日、翔空とは会えてないわけで。



さすがに3日目の今日、調子が狂ってきたあたしを見かねたのか、なっちゃんが呆れたように頭を撫でてくれる。