……これは。


サイズに合わせて作ってもらった衣装を持ち、更衣室にて皆着替え出す。


あたしはというと、自分の衣装を広げてかたまっていた。



「詩姫?早く着替えなさいよ」



さっさと服を脱ぎ、王子様の衣装を着ていくなっちゃんにあたしは頬をひきつらせて尋ねる。



「……これ、ほんとにあたしが着るの?」


「当たり前でしょ。今更しぶってないで早く脱げ!じゃないと私が脱がせるわよ!」



ひぃぃぃっ!


あたしは手を伸ばしてきたなっちゃんから逃げるように、体を引く。


もう諦めて、着るしかない。


それならせめて女の子にも見られずに着替えたい、ということで、更衣室のさらに奥にある個室に閉じこもる。


衣装なんだから。これを着る……それがコスプレ喫茶の宿命なんだよね。


勇気を出せ、あたし!


わかってる。

そんな事わかってるんだけど。