見えないままで良かった__……

分かりたくなかった__……

うそ、だと思いたかった。

でも____…
顔が見えて、すぐ分かった。


「___…るんだ、稲本 未晴。」

違ってほしかった。

でも、違うはずなかった。

「__…よろしくお願いします。」


カノジョも、気付いたようで、一瞬だけ表情が崩れたけど、嬉しそうな翔吾は気付かなかったみたいだ。

翔吾の話も、カノジョの話も
全く耳に入ってこなかった。


春と夏の間ぐらいの季節の風が、嘲笑うかのように少し強く吹いた。

高校2年。失恋をした。