「どう、変わったことあった?」
「いや、特に何も。」
「もしかして、違うアプローチから来るとか?」
次郎の言葉に一花はちらりと視線を向けた。
「他で動きがあったのか?」
『他』というのは郷太と四ツ谷のほうだった。

「今のところは何も。」

ざざざぁっと一陣の風が舞い上がった。
木々が揺れて、建物からの灯りも揺れているように見えた。
カーテン越し、動く人影が見えた。

「一はどうだったの?アレ。
物足りなかったんじゃない?」

「 何の話だ?」

「何のってーー」