翌朝早く、あたしはもうキッチンでケーキ作りに取り掛かっていた。

数種類のケーキが完成した頃、目を覚ましたママが階下へ降りてきていた。


「んーん、いい匂いね。ケーキ焼いたの?」

いつもの席に座ったママにコーヒーを淹れて渡す。「おはよう、ママ。」
「ありがと。希代香ちゃん、もしかして、、」

「何?はい、これはママとパパの分ね。
取り分けておいたから、パパが起きたら出してあげて。」

「まぁ、パパとママにも?ありがと、きよちゃんだいすき〜♡」
早速ぱくりとケーキを頬張ったママは頬を包むように手を添えた。

「ママ、何か言いかけてなかった?」

「なんでもないわ♡こんな美味しいケーキいただけるんですもの♡ふふ。」

「そ?急ぎじゃないなら、あたし、このまま出掛けちゃうよ?」
「はいはい、」と頷くママを見て、あたしは急いで、だけどそぉっとケーキを箱に詰めにかかった。

ケーキの箱は3つ。
真っ白で大きな箱が1つ、小さめの緑の箱が1つと赤い箱が1つ。

「ママ、冷蔵庫にこの赤い箱、入れとくけど、食べないでね。戻ったらまた届けに行くやつだからね。」
「ま、そうなの?はーい、わかったわよ♡」

念のため、『食べちゃダメ』の張り紙をして冷蔵庫の扉を閉めた。

その時、玄関のチャイムが鳴った。