「ちょっと亜矢、また載ってるじゃん!」


「やばーい!超可愛い〜〜♬」



昼休みの教室で目立った女子達が、ティーン誌を広げながら騒いでいた。



その輪の中心にいた瑞樹亜矢(みずき あや)は、「そんな大したことないよ〜」と言いながら笑っていた。



瑞樹亜矢は美人で有名。ウェーブがかかった綺麗な黒髪ロングで手足もすらっと長く、スタイル抜群。明るい性格で男女問わず人気者だった。


亜矢の隣にいるギャル風の女子達と違い、亜矢は清楚なお嬢様風であり、そこがまたみんなの気を引いていた。



それを遠くから見つめる私、黒瀬沙羅(くろせ さら)。



クラスではかなり地味な方。


三つ編みが一番落ち着くし、短いスカートはパンツが見えそうだからスカートは折らない。



よく一緒にいる友達は親友の真奈美。同じく大人しい性格の真奈美以外とはあまり話したくなかった。



でも亜矢の姿を見ると、やっぱり憧れた。



どうしてあんなに綺麗なんだろう?


どうしたらあんな風にみんなと話せるようになるんだろう?


私はいつも亜矢を遠くから眺めてるだけだった。



まるで2人の間に巨大な壁があるかのように。