「やーっぱアンタ達って、お似合いだよねっ」



放課後。

凛ちゃんと一緒に、テニスコートの中。



「そんなことっ……」

「あるー。あるあるあるー」



"アンタ達"とは。

あたしと耀くんの仲。



「耀太は、絶対まひろに気があるよ」



凛ちゃんはどうしても、耀くんとあたしをくっつけたいみたい。

今朝の一部始終も、凛ちゃんは何気に見ていたんだとか。


あとで思いっきり冷やかされたんだ。



「そうかな……。
でも、あたしには…」

「別に本命がいる。でしょ?」



そう。

あたしには、ちゃんと好きな人がいる。



でも、耀くんといてもドキドキするのは確か。

だから、耀くんのことも好きなのかもしれない。



こんなのって

おかしいかな……。



「ハイジャンの彼ね」

「……うん」

「名前も顔も知らない人が好きだなんて、おかしいよ」

「だってぇ……」

「去年3年生だったらどうするの?もう卒業しちゃってるんだよ?」

「そうだけど……」



耀くんと喋ってると、ドキドキする。


それでも。

あたしは"あの影"が忘れられなかったんだ。


鳥のように、ハイジャンを跳んだ彼を……。