《視点 大神燈子》

さて。
年が明け、燈子は予定通り某G県にある実家へと戻っていた。

正月の挨拶ついでに燈子を送り届けた秋人は、3日には都内の自宅に帰って行き、燈子のまったり実家ライフは、1週間が過ぎようとしている___


実家の炬燵の上に、ナゼかいつも常備されている“かるかん煎餅”。

それをポリポリとかじりながら、寝転んで昼メロ鑑賞をしていた燈子の義姉、由梨子は語った。

「アカチャン生むのなんてね、どうってこと無いんだから。
ドーンと構えときゃあいいのヨ、ドーンとね」

「そんなもんですかぁ…」 
「そーよ、平気平気」
 
偶然にも、実家に暮らす兄夫婦にも子供が出来、予定日も同月に重なっていたのだ。

「モー、オナカが大きいのが2匹のトドみたいにドーンとしてたら、家がセマくてかなわないョ‼」

実家の母がパタパタと傍らを走っている。

「あらお義母さん、ついでにお茶お願いしまーす」
「全くモー‼忙しいのにっ」

プリプリしながら、それでも母は3人分の湯飲みを用意すると、自分もこたつの一角に座った。

「でも家のコト、ちょっと心配だなあ…秋人サン、ちゃんとやってるかなぁ」

「だーいじょうぶだってぇ!
大神さん(♥)はシッカリした人だからさぁ」