「...何してんの?」
彼がお手洗いからハンカチで手を拭きながら席に戻ってきた。
「何で俺のケータイ勝手にみてんの?」
彼が少し怪訝な顔をして聞いてきた。
彼はいつもお手洗いに時間がかかる。
油断していた。
まずい
まずい
ノリでなんとかなれ。
「いやー浮気とかしてないかなーとか思ってついつい(笑)」
彼がもっと怪訝な顔をした。
怪訝な顔をしたまま、椅子に座り、左肘を机に軽く置き小さくため息をつくと、彼はこういった。
「俺達さ、別れない?」
驚けなかった。驚く前に怒りが全身を拘束し、勝手に体が動いた。
田中は急に立ち上がり、椅子が後ろに倒れた。
「なんで!?」
自然と大きな声が出ていた。