井上美穂(いのうえみほ)高一


私は、めずらしく二度寝をせずに家を出た。

母の説教をかいくぐって。

髪型もばっちりにして。

スカートもアイロンかけて。

ハンカチとか持っちゃって。

そんなに気合いを入れても余裕の時間。

だって初日そうそう遅刻なんかしてらんない。



今日は、高校の入学式だから。



今日はなんてったって私のビューティホーライフの始まりの日!

記念すべき青春の一ページ!


ローファーだって新品。

鞄だって新品。


今まで一度たりとも着ないで眺めていた憧れの制服だって新品。




今は、その新品だらけの制服を着て高校へ初登校!!



という記念すべき初電車に揺られている。


しかも一人で。

何をかくそう私は一人で電車に乗ったことがない。

乗ったことといえば、高校見学の時だけ。

しかも担任と。

そして、そんな電車に一人で初乗車中の私は今朝、気付いたことがある。



電車は、危険だ。



息が出来ない。

身動きが取れない。


ああ!もう!!


私の苛立ちが頂点に達しそうだ。

ありえない!!

何で一つの車両にこんなたくさんの人が乗るの!?

酸欠になるって!!

クーラーも意味ないし。

つり革だってあいてないし。

外の景色も見れないし。

良いことなんか一つもない。



たとえば



この事態。



私、人生初の「セクハラ」というものにあっております。