私が四歳のとき、憧れだった〝お兄ちゃん〟という存在ができた。

お兄ちゃんは誰よりも優しくて、温かな人で。

小さい頃の恋心なんて、と思われるかもしれないけど、それでもやっぱりあの恋心は本物で、今も消えない。

本気だ。って言い切れる。


だから、もう居ないなんて、死んじゃっちゃっただなんて、どうしても思いたくなかった。

お兄ちゃんが死んだあと、認めたくなくて、私は私の中だけに、空想のお兄ちゃんをつくった。


そうするといつしか、そのお兄ちゃんが見えるようになった。

私が話しかけると、あの大好きな声で返事もしてくれる。


……なんだ。お兄ちゃんは居たんだ。ちゃんとこの世に居たんだ。

そうだよね。お兄ちゃんが私を残して死ぬわけないもんね。