「結月(ゆづき)、今日から、この家で一緒に住む、お前の母さんと妹だ」


そう言ってお父さんがある日、知らない女の人と中学生くらいの女の子を連れて来た。

それは私が高校2年生の秋、つまり今から一か月前の事だった。

お母さんが亡くなってまだ1年もたたないというのに、お父さんは新しい女の人をこの家に迎え入れた。


「結月ちゃん、よろしくね」


新しい母という人は、優しそうな笑顔を向けた。

その笑顔が本物がどうか、私にはどうでもよかった。

私が母と呼ぶ人は、今までもこれからもずっと1人だけ。

この女を母と呼ぶなんて事は絶対にない。

だから私は、思いっ切りにらんでそっぽを向いた。

よろしくなんかするつもりはないと。


「結月、ちゃんと挨拶しないか!」


私の態度が気に入らなかったのか、お父さんは怒鳴った。


「いいのよいいのよ。そんなに怒鳴らないで。私がいけないんだから……」

「高校2年にもなって、そんな態度しかとれないのか?恥ずかしいと思わないのか」


慌てた女の人がお父さんを止めたけれど、本心ではなくて私への好感度アップ作戦に決まってる。

でも、私の気持ちは全く変わらない。