『家でゆっくり話し合いましょう。えみりも含めて4人で』
何について話し合うつもりなんだろう。
これ以上もう限界だと離婚を決意してくれたのなら、最高に嬉しいんだけど。
それとも私に家を出て行く事を提案してくれるのかな……?
色々な可能性を考えていると、車は無事に家に到着した。
車を降りてすぐ、おばさんにお礼も言わずに自分の部屋へと上がった。
雨はピークを過ぎたようだけど、まだ強く降り続いている。
濡れたカバンをタオルで拭きながら、中身を出した。
すると、川上君にもらったクッキーが袋の中でかなり割れている状態で出てくる。
雨さえ降らなければ、あのジャングルジムの上でリツと並んで食べたのに。
フラッシュバックする事もなく、死を覚悟するような真似をする事もなく……。
袋を開けて、クッキーをひとかけらつまむと口に入れてみた。
川上君が自信を持って勧めてくるだけあって、確かに美味しい。
でも、私のお母さんが作ったクッキーのが絶対に美味しい。
そんな事を言えばきっと川上君と口論になってしまうだろう。
クッキーをもうひとかけら手にしようとした時、バンッと勢いよくドアが開いた。
今朝よりも髪がグシャグシャになっているえみりが部屋の中に入ってくる。