「……渚くん、いつもありがとうね」

「いえ、俺がしたくてしてる事ですから!」


家の前、あたしは渚くんに手を引かれ、家を出る。

おばあちゃんが、渚くんに頭を下げていた。


「ほのかの事、どうかよろしくおねがいします」


そう、今は登校前。

渚くんはこうして、今まで通り、あたしの送り迎えをしてくれている。


おばあちゃんには、学校であったことを渚くんから話してくれた。


あたしは……あの日から、話す事も、食べる事も、寝る事もまともに出来ていない。


病院に行ったら、先生からは薬の量を増やすように言われたほどだ。


「ほのか、それ、鞄にいれておきなさい?」


おばあちゃんは、あたしの手を見て、注意する。

あたしの手にあるのは、タブレットケース、薬だ。


今では、この薬を手にもっていないと、不安でパニックを起こしそうになる。


だから、これはお守りのようなモノだった。