7月末。

夏の暑さはついにピークに達して、最高気温は40℃を上回った。


「ほのかちゃん、どこかへ行くのかい?」


制服を着て、スクールバックを肩にかけたあたしを見て、おばあちゃんは不思議そうな顔をする。


「うん、友達の補習に付き合うの」


琢磨くんと優真くんに頼まれてしまったし、力になれるならそうしたいから。


そういえば、優真くんに補習助けてって言われたのを思い出しちゃうな。


あの時の必死さに、あたしはクスリと笑った。


「良かった……」

「え……?」


おばあちゃんは、そんなあたしを見て、嬉しそうに笑った。

そんなおばあちゃんに、あたしは首を傾げる。



「よく笑うようになったね、ほのかちゃん」


「そう……かな?」


「おばあちゃんは、ほのかちゃんをずっと近くで見てきたんだよ。うん、ほのかちゃんは笑うようになった」


そんなおばあちゃんの嬉しそうな顔に、あたしは笑顔を向ける。


あたしの不安定な感情に、おばあちゃんを巻き込んで苦しめてばかりだった。


どうにもならないこの苦しみを、あたし自身もコントロールできなくて、辛かった。


でも今は、少し……前より前向きになれた気がする。