帝重工の高い塀の前。

真琴はその壁を見上げる。

壁の上には監視カメラ。

高感度の複眼で見ると、赤外線センサーも張り巡らされているようだ。

セキュリティは万全という事か。

ならば。

真琴は軽く膝を曲げ、跳躍する。

監視カメラで捉え切れないほど素早く、赤外線センサーに引っ掛からないほど高く。

数メートルもの余裕をもって塀を飛び越え、真琴は容易く帝重工の敷地内に侵入した。

誰にも気づかれていない。

セキュリティを過信し過ぎているのか。

警備員は誰もいなかった。