「見張りからの連絡が途絶えた」

フルオロカーボン液で満たされたプラスティック製の透明フードを被った男が言う。

ヨーロッパ大陸を流浪する民、ロマ族出身の機関本部長『将軍』。

それが彼の称号。

彼は権威の称号を冠し、精神的支配を促す。

そしてその称号を持つのは、何も将軍だけではない。

この円卓につく、全ての者達がそうだ。

「して、将軍」

機械化された黒鉄の身体、巨大な鎖鉄球を傍らに置いた男が将軍に問い掛けた。

機関フィンランド支部長の『参謀』だ。