夜8時。


この時間になるとゾンビの『お客様』の方が増えて来る。


自分の腐敗していく姿を気にしているのか、明るい時間にはあまり出歩いていないようだ。


幽霊は夜が好きだと言うが、それは自分の容姿がコンプレックスだからじゃないのかと、時々感じる。


人間とは違うものになってしまった。


それを理解しているから、人と同じ時間に活動できない。


そう考えてみると、ゾンビも幽霊も、なんだか少しかわいそうな切ない気持ちになる。


河田さんが再び解体部屋へ引っ込んだとき、『ロマン』に2人の来客があった。


「やっほー、モコ!」


入ってきた2人にあたしは思わず笑顔になる。


瑠衣と夢羽だ。


「2人とも、どうしたの!?」


「えへへ。たまにはモコのバイトの冷やかしでもしようと思って」


夢羽がそう言いながらカウンター席に座る。


瑠衣が夢羽の隣に座った。