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夏が来た日。

無防備なわたしに突然2人分の腕が絡みついた。


「ぐぇっ!」

突然のことに、女子高生らしからぬ声が出る。

そんなわたしに構うことなく、耳元で声を張り上がる彼女たち。


「柚希-Yuzuki-夏休み海行こう海!」

「旅館貸し切りだよっ!」


キーンと耳の奥で鳴って内容がいまいち入ってこない。

とりあえず……


「あぁもう暑苦しい! 茜-Akane-も葵-Aoi-も離して!」


2人の腕から解放されるべく暴れて、腕を振り払う。

腕はすぐ離れて振り返ると、いたずらっぽく触角をいじる茜と、ストレートの髪を肩から払う葵。


中学からの友達らしい2人はそんなふとしたしぐさがたまに似てたりする。

今年に入って初めて知り合ったわたしをそんな仲に入れてくれるのは嬉しいけれど。


「えーと……何? 海だっけ?」


……少し嫌な予感が。