「今日はお前らに話がある」


突然現れた俺の親父、西条 斗真。


俺の親父は人間界では俺らの通う私立青凌学園の理事長、ヴァンパイア界では最高支配人という俺達の世界のトップの位置についている。


そんな親父が言ったのは、明日新しくこの屋敷に引っ越してくるやつがいるという話だった。


「また増えんのかよ…もういいだろ」


「確かにな」


俺と海斗は中1の頃からこの屋敷に住んでいる。


俺は両親が仕事で忙しいから、海斗は両親の離婚という理由でこっちに移った。


そして高2になったところで当時中3の陽と光が入ってきた。


この2人は両親の暴力が理由らしい。


最初ここにきた時のあいつらは今にもケンカをふっかけてきそうな雰囲気だったが、最近になって落ち着いてきた。


そんな中新しく来るやつはどんなのだろうかと考えていると1枚の写真が置かれた。


その写真を見た時俺は驚いた。


「は?女の子?」


俺だけでなく、陽と光、珍しく海斗までもが驚いていた。


「なんで女なんか入れるんだよ」


若干不機嫌な声を出す海斗。


「可愛い子だろ?俺の知り合いの親戚の子らしいんだが、今年俺の学校に来るらしく、引っ越すことを考えていたそうでここに来ないか聞いてみたら了承してくれたぞ」


チッと海斗が舌打ちしたが、長年の付き合いの俺からすれば、これは喜んでいる舌打ちだ。


現に顔が少しニヤけている。


「あれ?海斗、顔がニヤけてるよ」


海斗の変化に気づいたのか、光が指摘するといつもの顔に戻った。


「うるせぇ」と悪態をついてても内心は嬉しいんだろう。


あの女嫌いな海斗が興味を示すなんて珍しい。


(これは明日から見ものだな)


無意識のうちに口角が上がってしまう。