さて、そうこうしているうちにあっという間に3学期に入り、私たちの話題はたいてい固定されてきていた。
選ぶ専攻によって、2年3年のクラスが決まるのだ。
そんなある日
「私、綾がAコースに進むならAコースに行く。綾がBコースに進むならBコースに行く。」
と菜穂が言い出した。
「菜穂、やりたいことがあってこの高校入ったんじゃないの?」
と私は確かめる。
でも綾と一緒がいいの一点張り。
私と離れてもクラスで浮いてしまうような子ではないし、クラスが離れても通学は一緒にする訳だし、ここまで頑なな菜穂を見て、私は正直戸惑っていた。
私がどちらかを独断で選んでしまえば、菜穂の3年間を決めてしまうようで気が重かったが、私は前から決めていたBコースへ進むと菜穂に告げた。
「わかったー。」
とあまりにも軽いノリで答えたかと思うと、菜穂はいきなり表情を険しく変える。
どうしたの?と私が顔で伺うと、菜穂は重そうな口を開き
「綾は、女の子が女の子を好きになるってどう思う?」
と。
私は素直に偏見はないと答えた。
菜穂は泣きながら私に話した。
中学の時からずっと友だちだと思っていた女の子に、恋愛対象として好きだと告白され、とてもショックを受けていると。
そしてその次に紡がれた言葉は私にとって衝撃的だった。
「だって…私が好きなのは綾なんだもん。引かれちゃうかなってずっと怖かったけど、私が好きなのは…」と嗚咽を漏らしながら菜穂は話した。
私の時は、しばらく止まったままだった。