ケータイ小説 野いちご

恋愛急行

初めての友だち

高校第一志望に、無事合格。
市外で幼馴染とは違う高校だけど、夢の電車通学。
オタクとまではいかないけれど、鉄道好きの私にとっては願ったり叶ったり。
とはいえちゃんと友だちができるのかやっぱり不安なもので、この高校へ進学するのが私の中学からはたった1人だと思うと心細かった。
そんな時だった。
私の最寄り駅から2駅いったところで同じ制服の女の子が乗ってきたのだ。
髪は栗色で細く、とても綺麗なストレートロング。
細くはないけど背が高くて、目鼻立ちがはっきりしている。
意外にも近くから同じ高校へ行く人はいるものだなぁと、ちょっぴり安心して隣の車両にいる彼女を見ていた。
彼女はというとこちらに気づいている様子は全くなく、鏡で前髪を整えている。
童顔で背も低い私からしたらお姉さんに見えて、それが先輩だと思うと声をかける勇気はなかった。
学校最寄りの駅に着くと、すっかり通勤通学ラッシュの人混みにもまれて彼女を見失ってしまった。
まるで今の私はストーカーのようだと心で笑ってしまう。
全てが顔に出て、彼女へ送る視線も凝視だった私は、決して探偵には向いていないけれど。
まだ通い慣れない道に警戒しながら学校へたどり着くと、それだけで疲労がずっしりとのしかかる。
どうせ知っている人もいないし、と自分の座席を探すことに集中して机をたどり、席に着いてふぅーっと一息。
だけどまだなにも入っていないカバンと机で、すぐに手持ち無沙汰になる。
元々引っ込み思案ではない私は、早速友だちを作ろうと周りを見回そうとした。
すると、なんと斜め後ろの席に先ほどの彼女が座っている。
「あっ」
私はずっと見ていましたと白状せんばかりに、つい声が漏れた。
彼女は私に気づき、小首を傾げながら疑問符を浮かべている。
「あの、笠松駅から電車乗ってきてますよね」。
焦りすぎて不覚にも露骨なストーカー発言。
彼女はお人形みたいに綺麗な瞳で私を見つめ、やはり戸惑っていた。
私は弁解するように自分の最寄り駅を伝え、実は同じ電車に乗っていたのだと告げた。
「なんだー!」
あはははと笑う彼女の笑顔が想像以上に絵のように美しくてびっくりした。
彼女は自分から、菜穂と名前を教えてくれ、私も続くように綾と名乗った。
次の日から同じ電車の同じ車両に乗って通学する約束をして、その日は別れた。
入学式の日に「また明日ね」って言える相手ができたことが嬉しかった。

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