【 陸:side 】



───ピンポーンッ♪



「り…く…ケホッ…」


人の背中で俺の名前を呼ぶバカ女。


ホントはこんなことやってる場合じゃねぇのに。


今、俺の頭の中は美華でいっぱいなんだ。


でも保健の立花に『なんで俺が…』と反抗したものの


俺の意思は簡単に無視され、住所が書かれたメモを無理やり手渡され…結局 断りきれずコイツの家まで来てしまった。


最近コイツが俺の側に寄ってこなくなって安心していたところだったのにツイてない。


やっぱり俺はコイツに振り回されてる。


『あれ?どなた…』


インターホンから驚いた声が聞こえた。


その直後、俺の姿がモニターから見えたのか、声の主は驚いた顔をして玄関のドアを開いた。



「うわぁっ!愛理、どうしちゃったの?」