【 愛理:side 】



「はぁ……」


「おい。愛理、聞いてんのか?」


「え?」


いつの間に…ここに?


目の前にあったのはパパの機嫌が悪そうな顔と、その隣で心配そうな顔をしているママの顔だった。


陸に“彼女”がいたという決定的な場面を目撃し、あの場所から逃げるように走り去ったんだっけ?


気が付いたら、いつものように3人でママが作った夕食を囲んでいた。


「愛理、調子が悪いの?」


「べつに…なんでもない」


なんて言いつつ…嘘に決まってる。


いつも仲がいいパパとママを見ているだけで、今日は胸にチクリと痛みが走るんだから。