【 愛理:side 】


なにが 今 起きてるの?



「今度 言ったら許さねぇから」



自分の髪の毛に触れている陸の頬がすごく熱い。


そして背中に回された腕に力が入ったのがわかった。


その行動にビックリして流れていた涙が止まった。


信じられないけど、あたしは陸の腕の中にいた。



「……陸?」



今までに感じたことのない胸を速く打つ音を聞きながら、陸の名前を読んでみたけれど…次の言葉が見つからない。


なにかを言ったら、抱き締めてくれてる長い腕がすぐに どこかに行っちゃいそうで。



───タンタンタン…



その時、誰かの足音らしき音がした。