数日後、あたしは、またカフェ『Bitter Lover』で後藤さんと打ち合わせをしていた。


「新しい作品のテーマ、決まりそうですか?」


後藤さんの言葉に、あたしは頷く。


実は、あのデートの日から少し考えている作品がある。
まぁ、本当にざっくりでしかないけれど。



「でも、少し形になるまで待って欲しいんです」


考えているのは、バリスタの男と恋愛小説家の失恋から始まる恋愛。


これは、翔とあたしがモデルで、認めたくない隠したい想いでもある。



「先生がそういうのなら、上を説得します!俺は、林檎先生のファン第1号ですから!」


そう言って笑う後藤さんに、あたしは笑みを返す。


上司から、次の作品の進み具合を急かせれてるんだろう。


なのに、あたしのスピードで一緒に進んでくれるから、後藤さんは良き仕事のパートナーだ。


「I haven't seen you for a long time, shyou!」


すると、遠くから、スーツを着た、背の高いブロンドの外国人男性が、大きく手を振っているのに気づく。


「We Missed You, Liam!」


それに笑顔を浮かべて出迎えたのは、翔だった。