ケータイ小説 野いちご

そして俺は、君の笑顔に恋をする

怒濤の七日間
fourth day―不安:脅迫






夜の零時を回った頃、


工藤はようやく黒瀬の寝息を確認した。


薄目を開けて再度上下に揺れる肩を視認し、音を立てないようにそっと立ち上がる。


寝室の外に立ち、先程から静かに振動しているスマホを取り出した。




「―――…はい、工藤」


『――おう、今よかったか?』


「ええ。最悪のタイミングではなかったんで。で、何か分かりました?」


『――ああ。お前の言った男、九条力也(くじょう りきや)は電話の後広域指名手配をした。出国した情報もないし、狙いの物も手に入れてないから関東一帯から外に出ていないだろう』


「たぶんそうでしょうね…あいつはそう簡単に諦めるような奴じゃない」


『――よく知ってる風だがコイツと何かあったのか』


「まあ、この男とは追いかけっこ状態で。見つけては追い込み、隙をついては逃げられるを繰り返しました。これまで何度こいつの偽名を潰してきたことか…」


『――じゃあ九条力也って名前は…』


「ああ。俺が知る中で一番新しい、日本でも使える名です。本名は外国の名前だがあいつは日系三世で日本人つっても通るから、よく日本名で偽名を作る」


『――なるほどね。良くも悪くも顔見知りってことか。…奴らの手下か?』


「まず間違いない、俺が保証します。三年近く追っていたんだ、【彼ら】の手がかりとして」



日本までわざわざやって来た事で確信が持てた。



「奴を追ってください。すぐにまた事件を起こす。データを奪うまで続けるます、あいつは…!」


『――分かってる』


「いや、分かってない。日本はあいつの縄張りじゃない。偽名を作るために頼れる奴はいなければ、セキュリティーもこっちのほうが断然厳しい。俺が日本に居ることも知ってるだろうし、この現状では日本という狭い土地でアメリカに居た頃のように逃げきれないと分かっているはずです。
 だとしたら、奴がとる行動は一つ。短期間で仕事を終わらせ、ボスの手を借りてさっさと姿を消す」


『――…我々に与えられた期間は』


「これから数日ってところですね。やつらはあらゆる情報を集め、片っ端から潰していく。彼女自身にも魔の手は伸びてくるだろうが、それは一番最後。外堀からじわじわ壊し精神を追い詰めて、最後に本丸を責める。数時間後には彼女の周りの人物の誰かが襲われる。すぐに警護の人員を増やしといてくれ。特にハナさんだ。誰かは知っるな。おっさん、聞いてんのか?」


『――分かった、分かった。分かったから、少し休憩させてくれ!そこまで言葉責めにされると頭が痛くなる!しかも敬語が外れてきてるぞっ!俺を敬えバカ!!』


電話の奥で、佐久間はうるさそうに頭を抱えた。




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