3年前士官学校を卒業した者たちが、この祈望軍の中で地味で何しているのか分からないと言われていたメッキ・偽装科を有名にした。様々な任務で活躍したことで、その年入隊した10人を人々は神世代、アブソリュート10と呼んだ。

正しくは、アブソリュート9である



「嫌だな、行きたくないな」

メッキ・偽装部隊の研究所に行く途中の道で呟く。小林 優呼はメッキ・偽装部隊を辞めたいと思っていた。メッキ・偽装部科は想像以上に厳しかったからだ。

「こんにちは」

「こんにちは……」

新兵にあいさつされたので元気の無い声で返事をする。優呼は聞こえにくく、何度も聞き返されるこの声を嫌っていた。だからあいさつをするのは好きではなかったが、新兵が近寄りがたい自分に向かってあいさつしたんだからこっちも返さないとなと思ったからした。

「あれは完成させた?」

「いいえまだです」

「遅い、早く完成させて」

「はい分かりました」

誰のせいで遅くなってると……そう思ったが言わなかった。今日のはまだいい方である。納期前になると蒸発を考えたこともあった。