薫子「時雨くん?」


おーい と、時雨の顔の前で手を振る柊先輩。

その動作で、やっと我に返ったらしい時雨が真剣な顔つきになった。

…こんな天使に告白されてるんだもんなー。

付き合うよね笑笑


稜呀「すみません。先輩とは付き合えません」


ほら_______って、え?!

ちょ、は?!何こいつバカなの?!いやバカだよ!!本物のバカだよ!!

学校中が告白されるのを夢見てる天使様をいとも簡単に振ったよ………?!


薫子「どうして?」


声は冷静でも、唇の中で歯をかみしめて怒りを耐えてる音が聞こえる。

柊先輩激怒なうだよ。

そんな緊迫したムードの中、時雨の口から、静かに…でもはっきりとした口調で意外なことが話された。


稜呀「確かに先輩は素敵な方ですし、顔立ちも文句がないほど綺麗に整っている。

純粋で人柄も良く、後輩からも同期からも先輩からも慕われる性格です。

だけど…そんなあなたは、自分の満足いくことしかやらない。
自分が満足するためなら手段を選ばない。

自分に虜になっている人たちを安易に利用して裏切り行為を繰り返している。違いますか?」


ま、まさか…柊先輩がそんな!!


薫子「クッ…時雨くん、後でどうなっても知らないからね」


不気味な笑みで微笑みかけた後、身をひるがえしてその場を去ろうとする先輩を、時雨が言葉で引き止めた。


稜呀「それから!!僕にはもう、心に決めてる人がいます。今までも、これからも、僕はその人しか愛さないしその人しか見ないつもりです。

その人は、本当の意味で純粋な方で、よく笑ってよくしゃべる、友だちも多い。

その友達を、自分のことを二の次にしても守ることができる心の優しい人です。」