「お約束はされていないようで、神谷社長へ会いたいと、ハヤカワマヒロ様が…」



ハヤカワマヒロ?
…女の人、だよね?
3年いるが聞いたことがない名前だ


『社長、ハヤカワマヒロ様という方が来られていますが、』



そう言うと、一瞬目を見開いたが
椅子の背もたれに預けていた身体を勢いよく起こし
今行く、と言ってジャケットを手にした



「今日は戻らないから戸締りよろしく」



そう言い残して行ってしまった
受話器を置き、社長の机から落ちた書類を拾い上げた


久しぶりに目が合った
それだけで胸が苦しい…


書類を置き、席に戻ろうした時
窓に目をやってしまった


とてつもない後悔…
社長の腕に絡みつく女性
あの人がハヤカワマヒロさん…

多分、あのパーティーの女の人だ

見たくなかった…
やはり、私には無理なんだ…