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携帯の目覚ましで目をさます。
「学校、か………」
昨晩、あまり眠れなかった…。
なんでか分からないけど、ただ胸がいっぱいで苦しくて…。
制服に腕を通し、支度を済ませさっさと家を出る。
学校の図書室で勉強するのは、私の毎朝の日課。
何故か図書室は人気がない。
私にとって、好都合だ。
今日もいないだろうと図書室に入るとーーー先客がいた。
遊んでるなら………他所でやってほしい…。
鼻にシャープペンを引っかけ、椅子をガタガタさせている男子。
赤のネクタイから察するに、私と同学年の中1だろう。
場所を変えよう……。
その場を離れようとした時、
「あっ、平山サンっ!おはよう」
気づかれた…。
無視。無視。無視だ。
そう思ったんだけど…
「俺、桜井 優伊!」
なんと、近付くついでに自己紹介してくるじゃないか!
「………っ」
「平山サン?勉強しないの?あ、俺分からない問題あるんだけど、教えてくれない?」
なんというくせ者。私が無口なの知ってるでしょ…?
私は貴方に教える義理もなければ、縁もない。
はじめましてだよね?君とは。
「………」
ニカッ!
微笑む彼。
「……………申し訳ないけど…」
逃げようとしたら、手を捕まれる。
「お願い」
めんどくさいやつに捕まった……。
「……………分かりました……」
黙って席に座りシャープペンを持つ。
「……どこですか……」
「だい門6のカッコ、8」
応用問題………。
結構、難しい問題で心の中でため息をつく。
「平山サンって頭良いよな?」
「別に」
「何いってんだよ。首席が」
「………次席くんこそ」
それを言うと目を見開いた。
「知ってたの?」
「……名前だけ」