*************



♪~♪~♪♪♪♪~♪



携帯の目覚ましで目をさます。



「学校、か………」



昨晩、あまり眠れなかった…。



なんでか分からないけど、ただ胸がいっぱいで苦しくて…。



制服に腕を通し、支度を済ませさっさと家を出る。



学校の図書室で勉強するのは、私の毎朝の日課。


何故か図書室は人気がない。
私にとって、好都合だ。



今日もいないだろうと図書室に入るとーーー先客がいた。




遊んでるなら………他所でやってほしい…。



鼻にシャープペンを引っかけ、椅子をガタガタさせている男子。



赤のネクタイから察するに、私と同学年の中1だろう。



場所を変えよう……。



その場を離れようとした時、



「あっ、平山サンっ!おはよう」



気づかれた…。



無視。無視。無視だ。



そう思ったんだけど…



「俺、桜井 優伊!」



なんと、近付くついでに自己紹介してくるじゃないか!



「………っ」


「平山サン?勉強しないの?あ、俺分からない問題あるんだけど、教えてくれない?」



なんというくせ者。私が無口なの知ってるでしょ…?



私は貴方に教える義理もなければ、縁もない。



はじめましてだよね?君とは。



「………」



ニカッ!



微笑む彼。



「……………申し訳ないけど…」



逃げようとしたら、手を捕まれる。



「お願い」




めんどくさいやつに捕まった……。




「……………分かりました……」




黙って席に座りシャープペンを持つ。



「……どこですか……」


「だい門6のカッコ、8」



応用問題………。



結構、難しい問題で心の中でため息をつく。



「平山サンって頭良いよな?」


「別に」


「何いってんだよ。首席が」


「………次席くんこそ」



それを言うと目を見開いた。



「知ってたの?」


「……名前だけ」