「さすが薫。歩く辞書」
どうやら薫くんと言うらしい……。
さらさらストレートの色素の薄い髪にくるんとカールした長い睫毛。大きい瞳はブラウンで薫くんは知的な感じがした。
「美人なのも大変だね」
「え…び、美人……?」
「僕も王子様とか言われてるから分かるよ。その気持ち」
なんの気持ちが分かるっていうの…?
っていうか薫くん、王子さまなんて言われてるんだ……すご。
「じゃあ、おねぇちゃんはお姫様だねー」
じゃあ、の観点が分からないんだけど……。
「じゃあ…昇くんも王子様かなー」
「うん!僕、王子様になっておねぇちゃんと結婚する!」
「「「はっ!?」」」
薫くん意外の皆が声を揃える。
私、ずいぶん年下の男の子に求愛されました……。
「それで、春になったらおねぇちゃんを迎えにいくのー」
「春になったら…?」
「うん!家族になるのー」
「ふーん……」
そっか……私、家族になるのか……。
「昇は相変わらず面白いなー」
響也さんの笑った声にニコニコ微笑む昇くん。
「皆で家で幸せに暮らすんだー」
幸せ……幸せか。
そうなるといいな……ーーー