誰だろう…この人は。


突然私に抱きついた、見知らぬ女性。


ふわふわとパーマを加えた黒髪から、鼻をくすぐる薔薇の香りがする。



「あの…」


「さゆりちゃん、なんて可愛いのぉぉぉーー!」



私の頬っぺたを両手で挟み、興奮している美人。

目力があって、少し怖い…。

うろたえていると美人の後ろから声がした。



「母さんったら……さゆりちゃん、困ってるよ」



誰……?



優しく目尻を下げて笑う、茶髪のイケメン。


私と美人の間に入ると膝をついて私の手を取る。



「はじめまして。僕は響也。」


「…………はじめまして…」



小さな声でこたえる私に微笑み、頭をポンポンする響也さん。



もしかして子ども扱いされてるのかな…。



「ハハ…さゆりお帰り。」



その光景を苦笑気味に見ていた人物。



それは私の父、匠だ。



「お父さん…」



これはどういう状態…?



「説明するから座ってくれ」



「……」



前の席に三人が座る。



何で3対1なんだろ…。



父に目を向けるとクスリと笑い、隣の美人と顔を見合わせる。



そして揃って私に微笑むふたり。











「再婚するんだよ」














耳を疑った。









「再……こ…ん…??」


「ああ。そうだ」


「誰と……?」


「すまん。紹介遅れたな。こちらさゆりのお母さんになる、恵美さんだよ。」



さっきの薔薇の香りがする美人。



「はじめまして!これから宜しくね!」



お父さん…こんな高嶺の花、どうやって手に入れたの?



「恵美さん…父をお願いします」



ペコリと頭を下げた。



だけど恵美さんは物足りないと言うように
『うーん』と首を捻る。



「さゆりちゃんもだよ。さゆりちゃんも家族になるんだよ」



優しく微笑む響也さん。



「僕は君と兄弟になりたいな」