四人が到着したのは、小さくまとまった木造の古い旅館。出雲荘と札がかけられていて、幽霊が出ると噂されてもおかしくない雰囲気を醸し出している。

だが、純和風で時代を感じさせる者を好む辰久が、贔屓にするのも頷けた。

中で出迎えてくれたのは、辰久と同じ年齢くらいの女将さん。我久も幼い頃から何度か会ったことのある人だった。

「すいません、巻き込んでしまって…」

「何を仰います。旦那様や坊っちゃんには、長い間気にかけていただいてますから。

古くて至る所にガタがきてますが、ごゆっくりなさって下さい」

「ありがとうございます」

我久がお礼を言うと、横にいた日和もたどたどしく頭を下げた。

「それでは、お部屋に案内します」

当然ながら、我久と日和は一つの部屋に案内された。

そう広くはない和室。屋敷と比べると狭く、お互いの存在をいつも以上に感じる空間となっていた。