次の日。

空港の駅から会社へと向かう足どりは今までになく重い。

まぁ、社員はたくさんいるんだし。そう簡単には会わないよね。と、思ってはいるけれど落ち着かない。


会社の玄関につくと、はぁーとため息をつき、『青山 七瀬』と書かれたネームプレートを首からかける。

私は調理の専門学校を卒業して、この会社の社員食堂に就職して、5年になる。気づけば25歳。まわりがそろそろ騒がしくなる時期だけど、残念ながら私にはその気配はない。


ロッカーに向かい、制服に着替えると今日のローテーション表を確認する。
社員食堂といっても営業時間は長く、昼の11時から14時までは食堂として。14時以降はカフェとして営業している。


ランチタイムの時は、各々ローテーション表の指示に従って、麺類、ご飯・みそ汁、メインおかず、サブおかず、丼、デザート、会計と7つの持ち場に別れて調理を担当する。


「今日は私は、麺類かぁー。」


自分の持ち場を確認して食堂に入る。