夏休み三日目


その日は 朝から雨が降っていた。


僕は 遅めの朝食を済ませたあと 居間のソファーに身体を預けように座った。


なんだか 二次元世界に飛び込む気分では なく



音のない世界で 掛け時計の秒針だけが音を奏でていた。



何もすることの無い 世界での 時は遅く

夏休み前から経てていた 国会100年の計ならぬ



休み40数日の計は脆くも崩れつつあった。


その原因となるものは 僕の頭さえ支配し


すべての やる気を奪い 奪ったやる気を支配下においた。




たまに出る溜め息は深く



僕の様子を見たものは 恋患いと感じるだろう……


だけど…





僕の様な二次元世界の住人には それが




分からなかった。





余程重症だったのだろう…


弟の太陽が帰ってきたのにも気づかずにいた…



『元兄‼

何馬鹿面して 溜め息ばかりついてんだよ♪


恋でもしたか?』






≪のわっ………≫

僕は 飛び起き 彼女のことを頭からかきけすと 慌てて否定した。




『何慌ててんだよ元兄…

冗談だよ 冗談‼

元兄に彼女ねー!

ないでしょ‼』

太陽は 冷蔵庫から取り出した牛乳をグラスに注ぎながら言った。




≪そうそう 僕の彼女は キラちゃんだけ…≫


『それはそれで ないでしょ‼』

太陽はきっぱりと否定した。



『ところで 元兄』


僕は 太陽のいる方をみる。


『明日俺の彼女とデートしないか?』




≪えっ?≫


あまりにも 思いがけない言葉に僕の思考回路は 混線した。