ここが大和だとすると、俺は左舷艦首辺りに落下したのだろう。

だが何故大和が?そんな事を考えつつ、立ち上がって歩きだそうとした瞬間、白い服を着た水兵が10人ほど駆け寄ってきた。

俺を取り囲んで、銃を構える。

「貴様、何者だ!!」
あまりにも突然のことで、俺は困惑していた。

「お...俺は...」

「早く答えろ!まさか米英の回し者か!」
ようやく状況が飲み込めてきた。どうやら俺は太平洋戦争中にタイムスリップしたらしい。

「俺は、未来の日本から来た日本人です」

「はあ?」
当然の反応だろう。タイムスリップなど信じる人がいるはずもない。

水兵が続けて言った。
「貴様、舐めとるのか!」

このままではまずい。ここで余計な事を言ったら、射殺される可能性も…
そんな事を考えていると、もう1人軍人が歩いてきた。

小柄で、黒い服を身につけている。階級を見る限り大将といったところか。

ん?待て。何処かで見たことがある顔立ちをしている。まさか...?

「山本...五十六!?」
思わず叫んでしまった。山本五十六らしき軍人が俺の目の前で立ち止まった。

「ほう...貴様、私の名を知っておるのかね」
感激である。まさか生で見ることができるとは...
「で、貴様は一体何者なのかね」

「私の言うことを信じてもらえるならば、お話しします」

「信じよう」
俺は覚悟を決めていった。
「私は、この戦争が終わって100年後の未来から来た日本人です」

山本五十六が笑った。
「ハハハ。それが本当ならば、貴様は我が大日本帝国の運命も知っとるということだな?」
どうやら冗談と思っているのかもしれない。

「そういうことになります」
山本五十六の表情が変わった。

「まあ良い。詳しい話は後で士官室で聞こう」