ケータイ小説 野いちご

あしたも天気になぁれ♪

突然の二人暮らし

俺には20も歳の離れた妹がいる。
といっても、父さんが再婚してできた妹なので、いわゆる異母兄妹だ。
俺ももう24だから、父さんの見つけるこれからの幸せや、父さんがこれから選ぶ人生にとやかく言うつもりはなく受け入れたが、年末年始やお盆で実家へ帰る度に黄色い声で出迎えてくる妹が、俺は正直苦手だった。
子どもは得意なほうじゃない。
だからといって毎日顔を合わせる訳でもないし、特別気にもせず父さんは元気だなぁくらいに思って呑気に暮らしていた。
そんなある日、仕事中に電話が鳴った。
病院からだった。
聞くと、父さんたちが家族揃って交通事故に遭ったという。
急いで県外の総合病院まで車を飛ばす。
状況もまだわからない状態で、最悪の事態も覚悟しながら、深呼吸をして病室へ入る。
閉められたカーテンで姿は見えないが、明らかに妹の麻実だとわかる声が泣きじゃくりながらいたいのいたいの飛んでけを唱えるように繰り返している。
顔を覗かせると、バツが悪そうに父さんがすまんなと言う。
車同士の衝突だったらしいが、全員命に別状はなかったようで無事だった。
父さんは鞭打ちだけの軽症だったが、歳も歳なので、自力で立って歩けるまで回復するには数ヶ月かかるらしい。
助手席に座っていた奥さんはあばら骨を骨折してしまい、表情には元気も見えるものの今は麻実を抱き上げることも当然できず全治半年だという。
後部座席でチャイルドシートに守られた麻実だけが無傷だった。
4歳という年齢で交通事故に遭い、目の前で両親がいつもとは違う姿で病院に寝かされているのだから泣きたくなるのも理解できる。
しかし。
となると、つまり…。
父さんは俺と目配せし、奥さんもすみませんと頭を下げる。
やっぱりか、と思いつつ放っておく訳にもいかない。
こうしてしばらくの間、俺と真実の初めての二人暮らしが始まったのだ。

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