あの時は…
志賀くん、私を拒否しなかった。

抱きしめてはくれなかったけど、あっちへ行けとも言われなかった。

思ったより広い胸。思い切って抱きつき、やっと彼に近づけたと思ったのに、次の日は、もとの状態に戻ってしまっていた。


後で、彼に触れようとしても、あっちへ行けって言われて近づけない。


それならば…
今度はさりげなく、横に座りお酒を飲ませて、しなだれかかってみた。

「ダメ、ちゃんと座って」ポンポンと座布団に座れと諭される。


「嫌。ここがいい」


志賀くんの首に腕を巻き付こうとしたら、逆に両方の腕をガシッとつかまれた。
ドサッと床に組み敷かれて、あっという間に志賀くんに押さえつけられてた。


なに?捕獲されちゃった?私。
全然適わない。

「志賀くんってなんかやってたの?」

「柔道だよ」

「それで強いんだ。ねえ、じゃあ、このまま私に寝技かけてみて」


「駄目だ。そんな手に乗るか」


「ねえ、いいじゃない。やってみて」


「ダメだ。ちゃんとそこに座ってろ」