***
綺麗な青空が広がる、ある秋の日。
私は、外の風景を楽しむことができるようにと壁の一面がガラス張りで作られている学食にいた。
「咲世ってほんと垢抜けたよね~」
「えっ?」
「ほんと! 最初はすっごい大人しい子だなーって思ってたけど、どんどん綺麗になってくんだもん」
「入学してしばらくは高校生みたいだったよね~」
「そうそう! 今はもうすっかり大学生してるけどね」
「そ、そうなの?」
美紗子、そして同じように仲のいい真由(まゆ)とランチを食べていると、そんな会話が飛び出してきた。
自分が話題の中心になることに慣れていない私は少し戸惑ってしまう。
確かにお化粧の仕方やファッションは、入学した頃から少し変えた自覚はある。
でも、真っ黒で真っ直ぐな髪の毛はそのままだし、キラキラしていて綺麗なみんなに比べれば私なんて地味なままだし、何も変わってないつもり。
っていうか、入学してすぐの頃は高校生みたいだったんだ……私。
少しは成長したってことなのかな……。
「自覚がないところがなぁ~。咲世らしさよね!」
「そそ! 普通だったらイラッとするんだろうけど、憎めないのよねぇ~」
「……よくわかんないけど……ありがとう」
お礼を言ってみると、美紗子たちは「かーわいー!」と笑った。
あれ? 今の、誉められてたわけじゃなかったのかな……?