「ねえ、石井ってさ、……謎の男だよね。」

私は目をパチクリさせる。

「だってさあ、あのルックスに頭も運動神経もいいじゃん!もういっそ嫌味かってくらい!」

そう言うのは友人の安藤静香だ。

ショートボブの髪を手でもてあそびながら健吾のいる方をジトっとした目で見ている。

「確かに石井君って隙がない感じだよね~。あんな完璧な人実際にいるんだね~。」

のんびり口調で静香に同意を示したのは小日向(こひなた)絵梨。

こちらは鏡を見ながらリップを直している。

「で?どうなの?あの完璧男と毎晩一緒で何か進展はないの?」

「やだ~シズちゃん、毎晩一緒なんてなんか意味深~」

昼食の済んだ昼休み、女三人集まれば話題は色恋沙汰一色だ。