「希代香ちゃん、上手くやってるかしらー。」
「誰がですか?」

こぽこぽこぽ、、、
心地いい音を立て、うす茶色い液体が落ちていく。

「あら、いけない。あたしったら。」
グレーの髪を綺麗にまとめた紀子は少し肩をすくめてみせた。背筋もぴんとしていて、これで60代だと言うから驚きだった。
「可愛く見せてもダメですよ。七花もあなたに似て、名前の呼び方に慣れないようですよ。」
「あら、そうなの?」
「ええ。」
薄いアメリカンに手を伸ばした。ナッツの香りがほんのり香ばしい。
「一花にしっかりしごかれちゃうわね。
女の子なのに、、大丈夫かしら?」
「送っておきながら、今更ですね。」
「だって、ばれちゃったんだもの。」
「今まで一花に女性を育成させたことは?」
紀子は考える素振りをみせた。

「ほどほどに、教育担当を変えたほうがいいかも知れませんね。」

その時ちょうど、六車の携帯が震えた。