【晃椰side】
机の上に教科書を広げて、突っ伏したまま窓の外を眺めた。
雲が厚く、灰色の空が外の寒さを示す。
12月に入り俺らはテスト期間に突入。
だから最近の授業は、ほとんど自習だ。
数学の自習時間に嫌々教科書を開くけど、全くもって意味不明……。
勉強とか大嫌い過ぎる…。
俺、よく高校受験やり切ったな…なんて今更感動するっつーの。
前の席の新太が振り向いて、俺のノートを覗き込む。
「やっぱり……板書してねーよなー…」
「板書しても意味分からん…。今回のテストもヤバイ」
「ははっ‼︎俺も‼︎あっ、そいえば…」
新太はニヤッと怪しく口角を上げ、小声で呟いた。
「A組の叶芽ちゃんと未央ちゃん、勉強得意らしいよ…‼︎」
「俺に関係ねーし…」
「まあまあ‼︎俺に任せなさいよ」
「嫌な予感しかしねぇんだけど」
自慢気に話す新太は早速、机の下でスマホを操作し始めた。
授業中バレたら没収なのに良い度胸……。