『――る、…楓純!』
『んー……痛っ…』
『もー!あんなに呑むから~』
キラキラとした光が、ワンルームの僕の自宅に差し掛かった朝。
愛しい凜菜の声で目が覚めた僕は、身体を起こして、
ふとモノトーンのチェック柄カーテンの隙間から外の景色を見た。
朝焼けのグラデーションがとても綺麗で、まるでジブリ映画にでも出てきそうな幻想的な雰囲気が、外の世界には漂っていた。
僕はそれをただ、ぼーっと見つめる。
あれ?
ここ、僕ん家?
…確か凜菜と別れて、その悲しさを埋めるように酒を飲んで…。
それで兄貴の同僚でもあり親友でもある折崎さんと…。
あれ?そうだよ!
折崎さんは?
…ていうか凜菜と別れたのに、なんで声がしたの?
幻聴?
だとしたらありえない。
自分でも呆れてしまうほどの未練がましさに、思わず「ないない、引くってば」と声を漏らす。