「……」



真っ先に天蓋のベッドへと向かったキュリオはわずかに瞳を見開いた。

そこに眠るはずの彼女の姿がなかったからだ。するとシーツの中へと手を忍ばせたキュリオ。



(…温もりが感じられない。随分前に部屋を出たか…)



部屋を見渡してみても窓から出た様子はなく、おそらく城の中にいることがわかる。

カイとの遊びの中で窓から外出する術を身に着けた彼女がそれを使うのは夜中に従者たちの目をかいくぐるためのものであり、今回はそれに当たらないと判断したキュリオの胸に安堵が広がる。

それもそのはず、キュリオの心を十分理解している女官や侍女がそれらを知っていたらアオイに手を貸すわけがないため、本来心配もいらないのかもしれない。


そして何も事情を知るのはアオイだけではないとわかっているキュリオだが…







「…アオイ…私を納得させられるだけの言い訳は用意してあるのだろうね?」







二人の間にわずかな溝も作りたくない彼はアオイに直接の説明を求めているのだった―――…。