『いけませんっ!今宵は男子禁制でございます!!女人にとって二月十三日は聖なる日!夜が明けるまでは姫様にお会いになってはなりません!!!』


侍女を従えた女官が王の前に立ちふさがる。
しかし、そのような話を聞いた事のないキュリオは…


『…悠久にそのような伝承はない。なぜ今年に限って…』


『姫様がお年頃のレディだからですわっっっ!!!貴方たち!早く姫様をお部屋にお連れして!!ここはわたくしが食い止めますっっ!!』


『かしこまりましたっ!!さぁ!姫様!』


『う、うん…っ!』


女官がここから先は通すまいと両手を広げ、その後ろを侍女に背中を押されたアオイが慌ただしく退出していくのが見えた。


『…一体何だというのだ…』


この日の夜、書庫に出向いたキュリオが"女人にとって二月十三日の聖なる日"の伝承について書物を読み漁る姿が見られたのだった―――。