「お疲れ様でした」

「お疲れ、真壁。飲み会どうする?あ、もしかしてデートか!?」

「行きませんよ、明日も仕事なのに。そしてデートもないです、付き合ってませんから」

「またまた~、まあ、気をつけて帰れよ」

帰り際、会社の入口で東雲課長に会ってそんな会話を交わした後、私はとぼとぼと歩いて帰る。


さすがに仕事中にからかってくる人はいなかった。皆大人だ。
が、しかし休憩になると、やたらとからかわれる。

みんな一様に「逃げられないように頑張れ」とか「何が何でも手放すなよ」とか、まるで私が岡田さんに必死でしがみついているような体で話すのが、これまた気に入らない。

確かに私は化粧っ気のない、女らしくない女ですけど。
本来ならあんなカッコいい男が、見向きもしないような女ですけどね。

枯れたジジイに言われたくないやい!
私だってモテる時はモテるんだ!